鹿

 20210213

動物にかかわる仕事を長くしてきて、ずっと「人間と動物を分かつ根本的な違いはなにか」を考えてきましたが、いまは、答えはないという気がしています。たとえば、「答えのない問いを問い続ける力は人間だけが持っている」などといえば気のきいた答えにみえるかもしれませんが、それは、象が「長い鼻は象だけが持っている」というのと何が違うのでしょう。それぞれ生きものには固有の特徴がある、というだけのこと。
だから、絶滅するまでは人間も動物として泣いたり笑ったり殺したりしてせいぜい悪あがきして生きていけばいいではないか、というくらいに思うことがあります。ときどきですけれど。

鹿 2021 acrylic on paper