脱炭素

 20210810

「首相が原稿を間違えずに読みました」ということがニュースになるような心細い国もあるようですが、それでも温暖化問題は待ったなしの大問題なのはかわりがなく、ほんとうに頭が痛いことです。
「脱炭素」政策でどうしても納得がいかないのは、温暖化の防止という本来の目的が見失われ、その手段に過ぎないはずのCO2排出削減が目的にすり替わっているようにみえることです。
ソーラー発電はたしかに火力発電に比べたらCO2排出は少ないかもしれませんが、せっかくCO2を吸収してくれる樹木を根こそぎにしてそれを建てるのでは本末転倒です。また、原発は海水を直接温めなければ成立しないシステムなので、いくらCO2を排出しないといっても、結果的には海洋の温暖化がもれなくついてきます。
そして目的のためにいちばん確実な方法であるところの「節電しましょう」という呼びかけがまったく聞こえてこない。それは節電はカネにならないからでしょう。(節電技術を開発して売る商売を除いては)。これは、当局が本当は温暖化なんかどうでもよくて、「脱炭素」という耳ざわりのよい呼びかけを利用してどうやってカネと利権を生み出すかしか考えていないことの証左にしかみえません。
不勉強ゆえにぼくの見え方が間違っているだけならいいのですが、コロナ対策をみてもいまの政府に科学的思考力がまったくないのは明らかなので、なんとも悩ましいところです。
なんでもかんでもカネカネカネ。いま、食糧、水、エネルギーなどはほとんどの人にとってはカネと引き換えにしか手にできないものになってしまいました。その中で、奇跡的に酸素だけはいまだに誰でも自由に吸ったり吐いたりできる貴重な資源です。でもそれもやがて、人工光合成なんかが開発されてしまったら、その技術を独占する連中が「もう森なんか必要ないよね」と森を焼き尽くして、彼らにお金を払わないと呼吸もできない世の中になるかもしれません。