持ち込むな

 20201121

とうとうぼくにまで「美術(やスポーツや音楽)に政治を持ち込むな」と言ってくださる方が現れて、ようやく一人前の絵描きになれた気がしております。
「持ち込むな」派の市民のみなさんへ、持ち込みまくってる立場からお返事さしあげるとしたら、
「何を持ち込むか持ち込まないかはわたしが決めます。黙れと命令される義理はありません。」に尽きます。
ですが、余計なことと承知でさらに付け加えるなら、
「今日あなたが誰かの口を塞ごうとすることが、明日あなたが誰かから口を塞がれることにつながるかもしれませんよ」と申し上げたい。
権力が市民の口を塞ぎたがる動機ならまだ想像できますが、市民が隣の市民の口を塞ごうとする愚かさは、声をあげる自由を獲得する歴史の中で先人がどれだけの血を流したか学んだことがある人ならわかるはずです。
現政権の存続を許すなら、肉屋と豚への二極化が今後も加速することは避けられません。その中で、お利口な上級豚が「どこそこに政治を持ち込むな」といってわれわれお行儀の悪い下級豚をすすんで叩いてくれるのだとしたら、この国の肉屋は楽ちんで笑いが止まらないことでしょう。
われわれ下級豚が切り捨てられたら今度は上級豚の下半分が新しい下級豚になるだけなのになあ。