笛鳥

 20250107


ある日、お腹の上で猫が眠り始めたので動けなくなり、仕事をさぼって頭の中でつくった詩です


草むらに置き忘れられた縦笛は
血と肉を得て鳥になった

鳴りたいときに勝手に鳴る笛だから
鳥になっても好き勝手に鳴りながら
好き勝手に歩いた

もともと笛だから
故郷も家族もない
仲間を欲しいと思ったこともない

けれど樹とは何となく親しくなった

星たちの匂いが満ちて
こだまや岩が目覚める季節になると
樹は高く低く鳴る
すると笛鳥も鳴る

ふたりの合奏は
互いに合わせるでもなく
てんでに鳴り
終わりたいときにてんでに終わる

やがて季節が移ると
鳥は雪解け水の流れを越えて
どこかへ飛んで行った