妖怪壁塗り

20181214
妖怪「壁塗り」
この妖怪、壁塗り又の名を漆喰塗りと云ひ、八ヶ岳の麓にふと訪らひ来たりてこの地いたく気に入りたりとて住み着きて十余年也。山の樵(きこり)の話に、この者よく図画などなしては里へ売りに行くもしばしば夜更け疲れたれば狢(むじな)鵺(ぬえ)などと鳴き交はしては穴などに潜り込み眠りこけるは常のこと也。過日結んだ庵の改修工事など申し粉まみれで壁塗りに没頭するさまは老狸の如しと云ふものありあるいは猿猴の如しと云ふものもありしかども未だその姿を見たる者なし。信玄公も退治を命じたれども叶はずと伝へり。